
大島にとって椿とは
9月〜5月の間、大島のあちこちで咲き続ける椿。約300万本が自生しています。大島に広く分布している椿は主にヤブツバキ(Camellia japonica.L)で、島の人々は江戸時代から椿の実から油を生産し使用していました。椿は防風林として畑の周りに植えられ、枝打ちなどの手入れで刈った枝は炭に加工され、名産品として江戸へ出荷されました。秋になると人々は実を拾い、油屋さんへ持っていき椿油にしてもらい、髪油や食用に使っていました。油の搾りかすは、畑の肥料や家畜の餌に混ぜていました。椿と島の暮らしは深く関係しあっていたのです。
このツアーでは、大正時代から続く装置を使い椿油を作っている製油所の見学や、実際に実から椿油を作る経験ができます。作った椿油を用いてフォンデュやアヒージョを食べながら島の歴史、暮らしを学び、椿油でのエステ体験も可能。まさに椿油を通して大島の美・食・住を体験できます。

椿油は他の植物油に比べ、オレイン酸を非常に多く含んでいます(85.0%。オリーブオイルは75%)。また8%ほど含まれるパルミチン酸は、オレイン酸とともに皮膚の成分と似ているため、肌に塗るとスッとなじみます。大島では江戸時代から女性たちの髪油として使用され、そのため大島のあんこ(お姉さんという意味)の髪の美しさは大変有名でした。オレイン酸をはじめとする脂肪酸は、肌の乾燥を防いで柔らかくする効果があるため、乳液やハンドクリーム、ボディオイルなどに使われています。
大島では椿油とアロマオイルをブレンドしたオイルでハンドマッサージやボディマッサージを受けることも可能。大島の風土が育んだ良質な椿油と、アロマの香りに包まれて、肌が生まれ変わるのを実感できるでしょう。


搾りたての椿油は黄金色に輝き、ナッツのような芳香を放ちます。この油は酸化しにくく、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を豊富に含んでいるため悪玉コレステロールを減らす効果もあり、動脈硬化や脳梗塞などの予防にもなると言われています。味わいは軽く、酸化しにくい良質な油で吸う。発煙点が高いため、揚げ油に使うと食材の外側はカリッとした食感があり、中身は素材の柔らかさを活かした仕上がりになります。その美味しさは格別です。